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副収入がある状態で退職したら、失業後の雇用保険はいくら貰えるか。計算シミュレーターを作ってみた。

会社を退職して、次の仕事が決まっていない場合、ある期間は国から雇用保険(失業保険)の給付を受けることができます。 これはほとんどの人が知っていることかと思います。

では、副業ブロガーのように、副収入がある人が会社を辞めた場合、その雇用保険の金額はどうなるのか?

そのあたりをハローワークに問い合わせて聞いてみたので、解説します。

計算用のシミュレーターも作ってますので、自分の場合のおおよその金額を計算することもできるようにしてみました。

 
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おおよその内容

最初にざっとだけ簡単に言いますと、

副収入(会社を辞めたら「副」じゃなくなりますが、まぁ気にしない)がそれなりの金額であれば、貰える雇用保険も減額されます。

でも、アルバイトやパートタイマーぐらいの収入額であれば、減額されずにもらえます。

んで気になるのは、一体いくらくらいまでなら減額されないのか。

そこですよね。

それを理解するためには、少し仕組みを理解する必要がありますので、順序立てて説明していきます。

 

賃金日額と基本手当日額

基本手当日額とは、もらえる雇用保険そのものです。1日当たりもらえる金額のこと。

賃金日額とは、その基本手当日額を計算するために計算が必要な数字です。

賃金日額 = [直近6ヵ月間の賃金合計] ÷ 180日

この場合の合計は、社会保険料や所得税等が控除される前の総支給額の合計になります。それを180日で割るわけですから、ひと月を30日と換算して、日割りの金額を算出するということです。仮に月額20万円ならば、

賃金日額 = 200,000円 ☓ 6ヵ月 ÷ 180日 = 6,667円

次に、この賃金日額に給付率を掛けて基本手当日額を計算するのですが、給付率は以下の表によって決まります。

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引用元: 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ - 厚生労働省

年齢と賃金日額によって給付率が決まります。

例えば、先程計算した賃金日額 6,667円で、年齢が28歳だすれば、このエリアに該当します。

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計算方法は図中の※2を参照すると、こうなります。

基本手当日額 = ( (-3 x 6,667 x 6,667) + ( 69,980 x 6,667 ) ) ÷ 70,300 = 4,740円

この金額が、雇用保険としてもらえる1日当たりの金額になります。

 

減額される条件

ハローワーク窓口にこの計算方法を確認したところ、厳密にやろうとするとかなり複雑な計算になるようで。担当者の方でも、システムで自動計算になるので細かな計算方法までは分からないとのことでした。年齢や、1日あたりの作業時間なども絡んできて、説明しきれないという回答でした。

なので、今回の解説も、あくまでおおよその内容として読んで下さい

それを踏まえて条件の計算式を書くと、こうです。

条件式

  • 減額される金額 = [副収入の一日当たりの金額] ー [基本手当日額の半額]

 
言葉で説明すると、支給される雇用保険額の半額以上の収入があると、その差額分だけ減額になるということです。(今回は半額で計算しますが、先程説明したように、これはあくまで大雑把な計算です。これが半額ではなく、4割になったり、6割になったり、条件によってこの割合が複雑に変わるようです。

例えば、先程計算した基本手当日額の6,667円で考えると、その半額は 3,334円。ここで副収入が1日当たり3,500円あったとすれば、

減額される金額 = 3,500円 ー 3,334円 = 166円

もらえる金額 = 6,667円 ー 166円 = 6,501円

となります。

逆に言うと、半額の3,334円以内であれば減額はされないということでもあります。

 

所定給付日数について

雇用保険は、もらえる期間というのが決まっています。 以下の表にもとづいて、会社勤めしていた期間と年齢によって、どのくらいの期間もらえるかが決まります。

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引用元: 基本手当の所定給付日数 - ハローワークインターネットサービス

 
3年勤めていた30歳の人であれば、所定給付日数は90日になります。

ここで大事なことがひとつ。

ポイント

  • 給付金額を減額されて給付額がゼロ円になった場合、給付日数にはカウントされず、1年以内であれば後に持ち越すことができる。

 
先程説明したとおり、雇用保険というのは副収入があれば減額されます。そしてその減額が大きくなると雇用保険は支給されません。でも、そうやって支給されなかったぶんは消滅するわけではなく、条件が整った時に改めて貰うことができます。

例えば、自己都合で会社を辞めた場合、雇用保険の給付が始まるのはなんだかんだいって、会社を辞めてから4ヵ月後くらいになります。給付日数が90日だった場合、そのから90日間は給付を受けられるのですが、別に収入があって、給付を受けられなかった場合。本来給付は始まる予定だった日から90日以上経過したとしても、給付日数の90日分は、収入が減ったりなくなった段階で貰うことができます。これは定期的にある「認定日」のタイミングで、どうなるかが決定されます。

ただし、いくつか注意点が。

①減額が小さければカウントされる

後に持ち越せるというのは雇用保険がまったく貰えなかった場合であって、減額されて給付されたケースではちゃんと1日分としてカウントされます。 例えば、本来の雇用保険が5,000円だっとして、別途収入があるために 4,900円減額されたとしてます。残りは100円になりますが、これも立派な失業給付として扱われます。5,000円 x 90日 = 450,000円でも、100円 x 90日 = 9,000円でも、どちらも90日分の失業給付という意味では同じです。
でも、減額が5,000円だとすれば、給付は0円となりますから、日数カウントはされず、後へ持ち越すことができます。

なので、下手に減額されて支給されるくらいであれば、収入の額を増やして支給なしの状態にしたほうが給付額としてはたくさんもらえます。もし収入を得るタイミングをコントロールできるのであれば、ちょっとずつ働くよりも、ある期間だけまとめて働いて給付なしの状態にしたほうがお得ではあります。

②持ち越せるのは1年まで

持ち越せるのは、会社を退職した翌日から1年間です。1年経過すると、給付日数がどれだけ残っていようとも全て消滅します。
扱いとしては、1年のうちにすべての給付を受けて下さいということですね。
(給付期間を伸ばす方法として、職業訓練などはありますが、今回の説明では省略します。)

 

その他の注意点

給付制限期間の収入について

自己都合で退職した場合、給付制限期間というものがあり、退職してから3ヵ月ほど経たないと雇用保険の給付を受けられません。ですが、この期間はアルバイト等をして収入を得ても、減額対象にはならない期間でもあります。減額になるのは3ヵ月後の給付対象期間からになります。
ひとつ忘れてはいけないのは、働いた日と時間をメモしておくこと。減額対象にはなりませんが、就労実績はハローワークへ提出する必要があります。ブログ等を書いて収入を得ている場合でも、作業日、作業時間は書き留めておきましょう。

待機期間の収入について

上記の給付制限期間とは別に「待機期間」というもがあります。これはハローワークに離職票を提出してからの7日間のことで、この期間内はアルバイト等をして収入を得てしまうと手続きをやり直しになったりするので要注意です。

 
 
では、これらを踏まえて、実際に計算してみましょう!

 

計算シミュレーター

▼直近6ヵ月の賃金合計額(控除前の総支給額)


▼あなたの年齢


▼副収入の月額




 ←上の項目を全て入力したら押して下さい。下に計算結果が出ます。



▼賃金日額
円 ÷ 180日 =

▼基本手当日額
円 ◀これが雇用保険の日額

▼副収入の日額(簡素化のために30日で割っています)
円 ÷ 30日 =

▼減額される金額(マイナスの場合はゼロになります)
ー( ÷ 2 ) =

▼減額後の基本手当日額(マイナスの場合はゼロになります)


▼減額後の基本手当の月額(マイナスの場合はゼロになります)
☓ 30日 =

▼雇用保険が減額されないギリギリの副収入月額
÷ 2)☓ 30日 =

▼雇用保険が支給されなくなるギリギリの副収入月額
(( ÷ 2)+ )☓ 30日 =

 
▼整理するとこういうことになります▼

あなたの雇用保険の日額は 円ですが、月の副収入が月額 円あるため、貰える雇用保険の日額は減額されて 円となります。減額されないためには副収入を月額 円まで抑えて下さい。また、副収入の月額を 円以上にすれば、雇用保険自体が支給されず、支給可能日数を持ち越すことができます。

 

最後に

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最後に言いたいことが2つ。

1つ目は、これは一般人がハローワークに問い合わせたり、厚生労働省のサイトを見て調べたりして書いた内容ですので、あくまでおおよその目安として捉えて下さい。

2つ目は、雇用保険はあくまで次の仕事につくまでの救済措置であるということ。 お金が貰えるならば少しでも多く貰いたいというのが人というものでしょうが、中途半端に働く時間があるのであれば、その時間を就職活動に充てて下さいというのが、本来、国が求めている姿勢でしょう。 このことを踏まえて、上手に利用して下さい。

というところで、以上です!