発売日にGH5を購入し、主に動画撮影として使ってきました。いや、むしろ、動画しか撮ってきませんでした。 GH5はスチルも撮れるけど、基本は動画機だと思っていました。
とんでもない勘違いだった。
購入1年にして、何気に使った「6Kフォト」という機能。
めちゃくちゃイイです!
この機能をざっくり説明すると、「動画から写真を切り出す機能」なんですが、こんな陳腐は言葉では説明しきれない素晴らしい機能でした。
誰だよ、ただの連写だとか言ったの。いや、誰も言ってないのだけど。
とにかく、何がどう凄いのか、詳しく説明しようと思う。
順を追って説明していくので、最後まで読んで頂きたい。最初は前提の説明から書きますが、大事なことは中盤以降に書いてあります。
6Kフォトとは
6Kフォトとはどういう機能かというと、
『6Kサイズ(横6,000×縦3,000前後)の映像(約1,800万画素)を秒間30コマで高速連写し、その中から自分好みの決定的瞬間の写真をセレクトして写真として残せる機能です。』
もう少しざっくり言うと、1,800万画素の動画を撮って、その動画の中から好きなシーンを切り取って写真にできるということです。秒間30コマとは、言い換えれば「30fps」ということ。1秒間に30コマの写真があり、それを連続して見せることで動画になるわけですね。動画のフレームレートの基本は30fpsですから、通常の動画と変わらないクオリティのものから写真を切り出せるわけです。しかも6Kで。
今現在、高画質と言われる映像は「4K(横4,000x縦2,000前後)」であり約800万画素です。この画素数は写真で考えたら全然大したことありませんよね。今のスマホでも普通に1,200万画素とかありますから、それ以下の画素数です。デジタル一眼なら2,000万画素が当たり前ですし、フルサイズ一眼ともなると4,000万画素をオーバーします。だから、単純に4K動画から一部分だけ写真として切り取っても解像度の粗いイマイチの写真しか取り出せません。
でも1,800万画素ならどうでしょうか。もう普通にデジタル一眼の画質です。スマホとは比較になりません。そこに6Kフォトの優位性があります。
ただし、6Kフォトはあくまで「フォト」なので動画とは違うため、記録ファイルに音声は含まれていません。記録形式も一応はmp4ファイルとして保存はされますが、それを直接再生ソフトで再生することはできません。6Kフォト形式のようで、GH5本体では動画として見ることができます。(動画を見て、その中から写真の切り出しをします。)
■2018.6.18訂正 〜ここから
6K連写(S/S)では音声記録もされ、6K動画として閲覧できるようです。ただし、GH5本体での再生では音声がないのはもちろん、僕のPC環境では再生すらできなかったので、再生するにはそれ相応のソフトが必要なのと、見れたとしても、よほど高スペックマシンじゃないとカクカクしてまともに見れないようです。
■2018.6.18訂正 〜ここまで
まぁ、4K動画ですら、容量が大きいし、その大容量のデータを編集するのにもPCのパワーが必要ですから、6K動画が記録できたとしても取扱いにかなり難儀すると思いますが。
それはそれとして。
1,800万画素の写真が切り出せるというのが6Kフォトの特徴です。
3つの撮影モード
6K連写
シャッターボタンを押している間だけ、連写撮影するモード。ほとんどのカメラに搭載されている連写モードと同じ。RAWでは撮れないぶん、ちょっと機能的には落ちるかもしれない。
6K連写(S/S)
S/SとはStart/Stopのこと。シャッターボタンを押すと連写撮影を開始し、もう一度押すと終了することができる。長い時間撮影したい時のためのモード。
6Kプリ連写
1枚の写真を撮る感覚でシャッターを押して、押した瞬間の前後約1秒(計約2秒間)を連写・記録できるモード。過去に戻って撮影できるので、とても重宝する。オリンパスのプロキャプチャーモードに近い。
この3つモードを見て、どのモードが便利そうでしょうか。
6Kプリ連写。
そうですね。これはすごく便利なんです。
シャッターボタンを押した前後1秒を6Kフォトとして記録できますから、例えば、「鳥が飛び立つ瞬間」とか、「サッカーでボールを蹴る瞬間」とか、いつ訪れるか読みにくい瞬間でも、「あっ!」と思ったその後にシャッターボタンを押せば、決定的瞬間を撮ることができます。
これはオリンパスのカメラにも搭載されていて、プロキャプチャーモードと言います。しかも、機能としては実は6Kフォトの上位互換でして、プロキャプチャーモードは動画とは違って「写真」として連写記録できます。つまり、カメラ本体の画素数そのままで記録できます。OM-D E-M1 MarkⅡならば約2,000万画素になります。それに加えてRAW記録もできます。
実は、6KフォトではRAW記録はできません(通常の連写モードならば、ちゃんとRAW記録できます。6Kフォトとしてできないだけです。)。単なる連写ではなく、動画形式での保存になりますし。ここがちょっと泣き所でもあるのですが、もう少し後で補足説明します。
はい、つまり、6Kプリ連写はとても便利な機能ではあるのですが、オリンパスのほうが上位互換ですから、ここが「推しポイント」ではありません。(厳密には、G9 PROならばオリンパスと同等のことができますが、今はGH5での話ですので。)
では、なにか。
6K連写(S/S)が凄い!
繰り返しになりますが、「6K連写(S/S)」とは、シャッターボタンを押すと連写撮影を開始し、もう一度押すと終了することができるモードです。
これの何が凄いかって?
GH5は、ミラーレス一眼で唯一、「動画の記録時間が無制限」のカメラです。
つまり?
30分だろうが、1時間だろうが、録画しっぱなしにしておいて、後で動画の中から好きな写真を切り出すことができるわけです!
カメラを構えながら、決定的瞬間を見計らう必要すらありません。だって撮りっぱなしですから。
もちろん、撮りたい画角で、撮りたい被写体を狙っておく必要はありますが、それだけでいいわけです。
決定的瞬間って、いろいろなところにあるんですよ。自分が狙っていない人やタイミングでも、後から動画で見た時に、「ここ、イイ!!」と思うシーンは意外とたくさんあります。
自分で狙ってシャッターボタンを押す場合は、常に意識を集中して、いつ決定機が来てもいいように準備しておく必要がありますが、6K連写(S/S)なら、そこまで神経を張り詰める必要はありません。
この差は、とてつもなく大きいですよ。自分でやってみて初めて分かるかもしれません。
なんなら、AFにしておいて固定で放置しておくのもありというくらい。動きものだとフォーカスを外してる場合もありますが、ワンオペで撮る場合、撮りっぱなしで放置しておけるのはかなり心強いですよ。
録画時間無制限のGH5だからこそ、可能な芸当です。
先程、RAW記録ができないと書きましたが、仮にこれでRAW記録するとなると、ファイル容量もさることながら、書き込み時間も膨れ上がりそうですし、長時間記録はできないかもしれません。それを考えると、RAW記録なしなのも、まぁ納得できます。 欲を言えば、6Kプリ連写ではRAW記録できると嬉しかったのですけれどもね。
64GBのSDカードでも、6Kフォトの記録時間は約36分ほどですから、その点から考えてもしょうがないかもしれませんが。
もうひとつ言うと、実はこの6Kプリ連写のでRAW記録は、同じくパナソニッックのミラーレス一眼である『G9 PRO』には実装されております。しかもフル画素対応ですから、オリンパスのプロキャプチャーモードと一緒です(後述するファイル削除方法も考慮すると、G9 PROのほうが上かも)。さすが静止画フラッグシップ。但し、GH5とは違い、6Kフォトでの連続記録時間は最大10分とのことで、どちらも一長一短はあります。
写真の切り出し方法が使いやすい
さて、動画を撮ったはいいですが、それをどうやって写真に切り出すか。
やり方は2つあって、
▼ひとつは動画を再生しながら、好きな箇所をコマ送りしながら選ぶ方式。
▼もうひとつは、最初からスライドショーのように写真が並んでいるので、それを指でスワイプしながらコマ送り動画のようにチェックして選ぶ方式。
僕のやり方は、まず動画を見ながら気になるシーンを見つけるまで眺めて、気になる箇所があったらスライドモードでコマ送りにして切り出しています。
▼写真の切り出し方法は、OKボタンを押すだけ。
動画で見れるって便利なんですよ。
連写した写真だった場合、1枚1枚見ていかないといけませんから非常に時間がかかります。PCに保存した後、サムネイルを小さくして一覧で見たりもしますが、それでも動画で見ることに慣れてしまったら、写真を1枚ずつ見るなんて面倒に感じてしまいます。
動画形式で保存されるメリットは、写真の選出時にもあるわけです。
ファイルの削除が超簡単
もうひとつ素晴らしいところ。
それは、6K連写(S/S)で撮影したファイルは、1度の撮影単位で1つのmp4ファイルにまとめられるので、写真を切り出した後、1つの動画ファイルを消すだけでそこにまとめられているものは全て消すことができます。 (上の写真で「6K」という写真が重なったようなアイコンが見えると思います。ひとつのファイルにまとまって保存されています。)
すげー便利!
単に高速連写しただけだと、当然ながら、撮った枚数分だけ写真も残りますよね。そこから好みの瞬間を選び出していって、選んだ後は、不要なファイルを手作業で削除していかなければなりませんが、この作業は面倒じゃありませんか? 僕はめちゃくちゃ面倒だと思います。むしろ、この削除作業が嫌で、連写して撮る枚数を少なめにしてしまったりしてね。なんという本末転倒。
削除が簡単ということは、後の作業を気にせずにガンガン撮っていけるということです。少なくとも僕はそうでした。
その他 地味に良い機能
最新の12分だけ残せる『ループ記録』
6K連写(S/S)の自動版。
6K連写(S/S)はシャッターボタンを押してから、次に押すまで、SDカード容量が許す限り録画しますが、ループ記録は最新の12分だけ記録できるので、12分より古いものは順次削除されていきます。長丁場で待ちが多く、決定的瞬間だけを撮りたい場合に重宝する機能です。
「雷がピカッと落ちる瞬間」とか、「動物園など撮る動物」とか、さほど面白みのない状態がずっと続いているけど、時折見せる瞬間を捉えたいシーンで使えるかと思います。
時空間ノイズリダクション
とにかく名前がカッコイイ。
機能としても優秀で、残したい瞬間の前後の複数フレームから被写体の動きを読み取り、フレーム合成処理を行うことで、ノイズを抑えた写真を作り出す機能。
連続した写真があるからこそできる事ですね。高ISO時のノイズを大幅に減らせるとの事です。
ローリングシャッター歪み補正
高速で動く被写体の撮影やカメラを左右に振るような撮影をした時に発生しやすいローリングシャッター現象を、カメラおよび被写体の動きから歪み量を正確に捉えることにより補正する機能。
6Kフォトを使うということは、大抵は動く被写体なので、そこで発生するマイナス要素を消してくれるのはありがたいです。
残念なところ
間違いなく神機能の6Kフォトですが、そうは言っても、良いことずくめというわけではなく、やはり弱点というか、ちょっと物足りない箇所もあります。
やっぱりAFは弱い
6Kフォトを使うシーンは、通常なら高速連写したりするような動きものを撮る場合だと思います。で、いつも言われることですが、GH5はAFの性能が良いとは言えないので、AFだけで被写体を追おうとすると結構外します。
数字的な話では、6KフォトにするとAF追従速度が結構落ちるようで、静止画では480fpsなのが、6Kフォトの場合は60fpsまで落ちるとのこと(未確認ですが、2018年5月30日のファームアップデートで数字的にいくらかは改善されているかもしれません。) 。惜しいなぁ。非常に惜しい。AFがびたっと食いつけば最強の機能なのに。
僕の場合は、動画はマニュアルフォーカスで合わせることが多いので、AF頼みではないのですが、マニュアルだと家に帰って動画を見た時にピントがずれていることがあるので、瞳AFなどでビタッと合ってくれるとありがたいなぁとは思うことがあります。
G9 PROならば、GH5よりAF性能が良いので、G9 PROで6Kフォトを一度使ってみたいなぁ。
RAW保存できない
すでに触れたことですが、RAWの同時記録はできないので、レタッチ耐性は低いです。JPEGですからね。RAW記録したいなら、素直に連写モードで撮るのが良いです。
ただ、動きモノの写真って、色やレタッチよりも、なにより「決定的瞬間」のほうが大事だとは思います。表情だったり、なにかの瞬間だったり。どちらも対応できればベストではありますが、容量やSDカードの速度などを考慮すると、あれもこれも全部というわけにはいかないのでしょう。割り切りですね。
逆に言うと、この2つくらいでしょうか。
残念だと思うことではあるのですが、僕としては長所のほうが圧倒的に勝るので、全然許容範囲ではあります。
6Kフォトを使っていない作例
では、具体的に、6Kフォトを使った写真と、使わなかった頃の写真を比べてみましょうか。どのくらい違うのか。
動きのある被写体としては、僕は毎年、札幌で開催される「よさこいソーラン祭り」を撮るので、その写真を例にします。
まずは、6Kフォトを使わずに連写で撮っていた写真から。
カメラはGH5ではなく、OLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡですが、写真として瞬間の捉え方という見方で見てくださいまし。
動きのある瞬間も撮れてはいますが、基本的にはあまり動的な瞬間は撮れていません。
基本的には「決めポーズなど、人の動きが止まった瞬間を狙って連写」で撮っているため、瞬間は瞬間でも、躍動感という意味ではちょっと物足りない感じ。
6Kフォトを使った作例
続いて、GH5の6Kフォトを使って撮った今年の写真です。
よさこいソーラン祭りは、チーム毎に5分ほどの演舞があるのですが、その5分間は基本、6K連写(S/S)で撮りっぱなし。後から好きなシーンを切り出して写真にしています。
自分で狙ってないタイミングにも良いシーンがたくさんあり、家に帰って写真に切り出してから自分で驚くくらいのものが何枚か撮れてました。
この1年、別に写真を撮りまくっていたわけでもなく、構図などがレベルアップしてる感じはないので、やはり6Kフォトの恩恵だと思います。
自分で見ても、去年と比べて、明らかに動きのある写真が撮れていています。びっくり。
去年との一番の違いは、去年は「決めポーズなど、人の動きが止まった瞬間を狙って連写」で撮っていたのですが、今年は撮りっぱなしですから「人が動き回っている、まさにその途中の瞬間を切り取って捉えることができた」ということだと思います。
まとめ:6Kフォトは腕がなくてもプロっぽい写真が撮れる!
僕はここ最近ずっと、映像ばかり撮っていて、決定的な瞬間を捉えることをやっていなかったのですが、それでもここまでの写真が撮れる事にとても満足しています。
単なる連写モードだったら、絶対にここまでは撮れていません。だって、自分で狙ってタイミングをとらなければなりませんから。
僕はGH5というカメラは、スチルも撮れることは撮れるけど、基本は動画専用機だ、くらいの印象がありました。写真を撮るならば、オリンパスのOM-D E-M1 MarkⅡなどのほうが良いかなぁって。
でも、今回6Kフォトを初めてちゃんと使ってみて、その印象は変わりました。
凄いわ、GH5。
スチル機としても、ガンガン使っていけるわ。
むしろ、1,800万画素の無制限動画記録はGH5しかできませんから、そのためにこのカメラを買ってもいいくらいでは? それはさすがにちょっと言い過ぎ?
でも本当にそれくらい素晴らしい機能なんですよ、6Kフォトって。
たぶん、ほとんどの人のイメージって、「ただの動画からの切り出しでしょ? で、それが何?」くらいだと思うんですよ。分かります。だって、GH5を使ってた自分ですら、買ってから1年もの間、使いもしなかった機能ですから。
その認識は完全に間違いだったと分かったので、今回、長々と書いてみました。
ほんと、一度使ってみてほしい。
ほんとに。
神機能だから!