富士フイルムのコンデジX70を使い始めて数週間になりますが気になる点があります。
それはデジタルテレコンバーター機能。
X70はズームできない単焦点レンズなのですが、テレコンのおかげで3種類の画角での撮影ができます。
でもこのテレコン、画質劣化はないのだろうか。
そんなことが気になったので、撮り比べてみました。
デジタルテレコンバーターとは
広角28mm(*1)相当だけでなく、デジタルテレコンバーターを設定すれば35mm相当、50mm相当の画角でも撮影できます。
引用元: FUJIFILM X70 デジタルテレコンバーター - 富士フイルム
説明文よりも見たほうが早いですね。
3種類の画角とは、こんな感じです。
X70は一般的なコンデジのように、細かく倍率を変えながらのズーム撮影はできませんが、画角固定で3種類の撮影ができるということなんです。
これがデジタルテレコンバーターという機能です。
気になる点
で、何が気になるかと言えば、テレコン使用時の画質です。
50mm相当に拡大撮影した場合、画質劣化しないのか?ってことです。
一般的に、撮影する写真を拡大(ズーム)するには2つの手法があります。
「光学ズーム」と「デジタルズーム」です。
当然ながら、光学ズームのほうがいいんですよねぇ。
光学ズームとデジタルズームの違い
光学ズームとデジタルズームの違い
デジタルカメラのズームには、光学ズームとデジタルズームがあります。
この2つは同じズーム機能でも、仕組みがまったく違います。光学ズームは、普通のカメラ (銀塩カメラ) と同じ仕組みですがデジタルズームは、写った画像の一部を切り取って補完拡大しています。
光学ズーム
光学ズームはレンズを動かすことによって、焦点距離を変化させ、光学的に拡大して写しています。
レンズの焦点距離が長くなり、被写体は大きくなる。画質が劣化するようなことはない。
デジタルズーム
デジタルズームはレンズ自体はそのまま動かさないため、実際に写る大きさは変わりません。 CCD に写った画像の一部を拡大することで被写体の大きさを変えています。一部を補完拡大することで、あたかも望遠で撮影したかのように見せているため、デジタルズームを使うと画像が荒くなることがあります。
広角時の焦点距離で撮影した画像の一部(枠の中のデータ)を拡大処理するため、画素数が減り画質が劣化。
富士フイルムのデジタル超解像処理
じゃあ、富士フイルムのX70では、どうなの?というと、公式サイトではこのようにあります。
デジタルテレコンを使うと、異なる焦点距離の拡大画像をデジタル超解像処理によって撮影できます。
引用元: デジタルテレコンを使って撮影したい - 富士フイルム
デジタル超解像処理?
なんじゃらほい?
おーい、Wikiさーん!
超解像技術(ちょうかいぞうぎじゅつ、Super-resolution)とはテレビなどに関わるデジタルでの画像処理技術の一つで、入力信号の解像度を高めて出力信号を作る技術を指し、具体的な製品では入力された動画や静止画の信号を高解像度化して出力したり、高解像度の画像を表示したりするものである。
(中略)
例えば、標準解像度のビデオソフトをフルHDの大画面テレビでみる場合に、超解像技術を備えた映像機器によってたりない画素を補間することでよりリアルな映像を楽しむことができる。また、携帯動画をオリジナルより画素数を増やすことでみやすくする場合にも超解像技術が使われる。
超解像技術は、言葉からも解像度、つまり、画素数のみの増加を示しており、色深度やダイナミックレンジ、動画では時間当たりのフレーム数といった画像の美しさを決めるほかの要素は考慮されていない。
引用元: 超解像技術 - Wikipedia
説明は、富士フイルムの技術そのものではないですが、おおよそ同じものと想像できます。
つまるところ、富士フイルムの「デジタル超解像処理」とは、ざっくり言うと、「画素補完のあるデジタルズーム」ってことになるのかな?
整理すると
デジタルズームってことは、単に画像を引き延ばしただけなので、画素数が減って画質が荒くなります。図で見ると、本来168画素あった写真の中央部を赤枠のように切り取って引き延ばすと、たった12画素になってしまうということです。
但し、説明にもあるとおり、デジタル超解像処理により多少の画素補完はされる、と。
なるほど。
ということで、僕が気になる点を整理しますと、以下の2点になります。
- 「28mm相当撮影」と「50mm相当撮影」で、デジタルズームによる劣化はどのくらいあるのか。
- デジタル超解像処理による画素補完はどの程度のものなのか。
デジタルズームによる劣化はどのくらいあるのか
最初に言っておきますと、一応は撮り比べてみたものの、撮ったものを見て比べるくらいしか方法が浮かびませんでしたので、あまり精度のよい検証ではありません。
パッと見て、ザラツキがきになるかどうか程度の確認しかできませんでした。
とりあえず、いろいろ撮ってみたので、ひととおり貼り付けておきます。
ちなみに、上が28mmで、下が50mmです。
どうでしょう?
違いは分かりますでしょうか?
正直、僕は全然分かりませんでした。
50mmで撮影してみても、はっきりとザラっとする感じでもありません。
もっとカメラ歴の長い人なら分かるのかなぁ。
僕が持っているコンデジはもう一つあって、Panasonic LX100も持ってます。このカメラは35mm判換算で24-75mmのズームがあるのですが、最大ズームの75mmで撮ったものは結構ザラついて見えたんです。
今回は50mmですので、画角に多少の差はあるものの、このサイズの画像でほとんど気にならないということは、素人の実用面では問題ないとみてもいいんじゃないでしょうか。
カメラ大先生が見るとまた違うかもしれませんけれどもね。
画素補完はどの程度のものなのか
続いて、デジタル超解像処理の検証。
検証方法は、28mmと50mmの写真から、おおよそ同じエリアを切り取って引き延ばして比較してみます。
画素補完が弱ければ、ほとんど同じに見えるでしょうし、補完が強力であれば拡大時になにかしらの差がでるはずです。
但しこれも、目で見ておおよそ同じくらいのエリア指定を手作業でやっただけなので、あくまで目安程度の検証でしかないことを先に断っておきます。
円山動物園入口
まずは普通に撮影した写真。
上が28mm、下が50mm。(以下の画像は全てこの並びです)
これを赤枠部分だけ引き延ばして拡大してみます。
「開園時間」という文字は、28mm(上)のほうがノイズが少なく見えます。
でも、一番下の「時間」の「間」を見ると、「日」の字の真ん中の線がしっかり見えるのは50mm(下)のほうです。
お、こっちは少し差があるように見えます。
50mm(下)のほうが字に見える。(読めるところまではいってませんが)
これが画素補完の効果?
円山動物園内の施設
これを赤枠部分だけ引き延ばして拡大してみます。
これはほとんど分からないなぁ。
ランプで照らされたレンガ部分が少しムラがあるくらい。
ガラスへの映り込みはほぼ一緒に見える。
こっちもほとんど一緒。
はっきりした違いまでは見当たらない。
近所の花壇
これを赤枠部分だけ引き延ばして拡大してみます。
更に引き延ばし拡大します。
50mm(下の画像)はデジタル超解像処理により画素補完があるはずですが、どうでしょう、分かりますでしょうか。
印象としては、50mmのほうが影の部分が少しモワっとしてるようにも見えます。
フォーカスの問題でしょうかね。このレベルの検証ではちょっと判断しかねますね。
うーん。
近所のトマト畑
これを赤枠部分だけ引き延ばして拡大してみます。
これは少し差が出ました。
50mm(下)のほうが輪郭がはっきり出ている印象。
ヘタの部分や、その右側の傷など、シャープになってます。
でもこれってフォーカスの加減ということもありえます。
なにせ手持ちで連続撮影しただけですからね。
一応は一点AFで同じ場所を狙ったつもり撮ってはいるのですけれど。
検証結果
あくまで素人目線での検証ではありますが、今回の結果はこんな感じ。
疑問①:「28mm相当撮影」と「50mm相当撮影」で、デジタルズームによる劣化はどのくらいあるのか。
▸▸ 50mmでも目立った画質劣化はない。
疑問②:デジタル超解像処理による画素補完はどの程度のものなのか。
▸▸ 補完されているようだが、目視では超ズームレベルに拡大してわずかに分かる程度。
つまるところ、少なくとも趣味レベルの用途なら、ほとんど気にすることもなんじゃないでしょうかね。
28mm→50mmは、倍率でいうと1.8倍程度のものですし、それほど劣化しない、と。
少なくとも現段階の僕の整理では、そういうことになりました。
とりあえずは50mmテレコンを気兼ねなく使っていくつもりです。
使っていてまた何か気づきがあれば、その時に記事にしようと思います。